2005.11.30.UP
       
2006年10月、高知市の日曜市に出掛けた時のレポート。
四国山地を越えると、独立国家のようなのびのびとした風土が広がっていました。
南国土佐の海の幸、山の幸、川の幸・・・個性豊かな産物がひしめく日曜市は、ここで暮らす人々の元気の源のようです。
 
  高知城追手門から東に1キロ、椰子の木並木に沿ってテントが連なり、山海の食物や植物、生活品のお店が並びます。この市場は江戸時代から三百年以上も続いているのだそうです。
山海の豊かな食べ物と風土に育まれた朗らかな人々が集うこの市場は、歩くだけで活力が満ちていくようです。
折しも10月は、ちょうど夏と秋の産物が交差するユニークな時期でした。
   

おばさん達が交わす「元気のキャッチボール」。売ることより、この為に集まっているという感じ。
このおばちゃん達が売っているのは、ズイキ(右端)と佃煮(中央)、かぼちゃ。

ズイキは、皮を剥き、スライスして酢醤油や酢みそで和えていただきます。
スポンジみたいだけどショワショワッとした歯ごたえが楽しい。

 
 
   
ココで売られていたものに「葉唐辛子」の佃煮がありました。甘さを抑えた醤油味。ピリッと辛くて、葉っぱは意外に柔らかいのです。ビタミンCがいっぱいの食材です。
 
 
   
 

「これはこうして食べなさい」「かくかくしかじかしておけば、冬まで食べられるよ」
買い物の度に調理法まであれこれ教えてくれるおばちゃんたち・・・。生活の知恵は、出し惜しみしない。

週末のレジャーが市場での買い物・・・そんな暮らしなら「食育」なんて必要ないかも。

 
 
 

南国土佐の食の豊かさは、温暖な気候風土と共に標高2000メートル近い四国山地、そしてその山々からの清流が流れ込む豊かな土佐湾・・・黒潮の恵みの賜。
土佐の産物といえば、何と言ってもまずは鰹。それから、全国一の生産量を誇る四万十川の青のり。四万十川では鮎も有名です。残念ながら、日曜市では、鮎も鰹もありませんが、果物も野菜も豊富。

新高梨。これも高知の産品でした!傷物も値引きして一緒に売っちゃうところが気に入りました。これも産地直送の市場ならでは。生姜も高知産!この日はほんのりピンクの新生姜が沢山出回っていました。これで一山200円とは! 価格も大らかです。たっぷり買って、甘酢漬けや生姜ドリンクを作ろうかな。)))

 
   
  茗荷は、鰹のタタキにも是非加えたい薬味のひとつ。ここの茗荷、締まってて艶やかで超新鮮!
 
   
 

【写真左】10月だというのにまだ路地モノのゴーヤが・・・。

【写真上】は、かぼちゃの茎。
こんな風にゆがいて売られています。こういう食材こそ、市場ならでは。

 

【写真下】かぼちゃといえば、こんな珍しい品種もありました。メロンのようなかぼちゃや、デコボコで巨大なかぼちゃ・・。一見日本かぼちゃっぽいですが、調理するとホクホクの栗かぼちゃの食感です。
 
   
 
こちらは、地元の方が「酢ミカン」と呼んでいる柑橘類。少し大きめのカボスのようですが、ホントに酸っぱい!沖縄のスィークサワーの苦みを取ったような感じ。これでポン酢を作って冬の鍋支度っていうのもいいですね〜!
 

ゴボウにも、サイズや太さに分けて売られていました。


【写真左下】滋養いっぱい。里芋の親芋。アロエベラも、食用にうられています。

 
  写真を撮りそびれてしまいましたが、栗も特産品。加工品の代表は、なんといっても栗焼酎。この時期は丁度栗が出回り始めたところで、大小の栗が並べられていました。
岩国のがんね栗を例外として、サイズの大きい栗は大抵甘味が少ないと認識しているので、小さいモノを・・・と目で追っていたところ、出店していた武田青果さんが薦めてくれたのが佐川町の夢甘栗。幡多地域特有の野生種「七立栗」と糖度の高い中国品種の「傍士甘栗」を交配したものだそうです。頭のてっぺんの毛が長いのが特徴だとか。
渋皮が薄く渋皮煮には向きませんが栗御飯やゆで栗素材の味重視の料理にはピッタリでした。ホクホク粉吹き感もしっかりあります。
 
 
 
赤松の葉は、血をきれいにしてくれる薬草。漢方薬にも、赤松、高麗人参、熊笹を配合した松寿仙というものがあります。
ここには、砂糖漬け、焼酎漬けの説明が書いてありますが、松ジュースなんて・・なんだかとても体に良さそう。
 
 
 
  ドクダミ茶(十薬)は、花が咲いている時期のものを刈り取り、天日干しします。お茶にして飲むと、整腸作用(軽い下剤として)や、利尿効果が期待できます。  
 

これだけの種類を使いこなせたら、あなたはもう医者要らず!? 
これらの生薬を必要に応じ、毎日摂るお茶や食べものに活用して、薬食同源を実践。
自然と寄り添って生きる人たちの健康の知恵=民間療法も、より根付いている感アリです。まあちょっと中には今時のハヤリモノっぽい外来品種モノも混じってはおりますが(笑)。地元でとれるものを食べるのも健康の秘訣。四国は、島ならではの混じりのない日本古来からの薬草も豊富な土地。高知市の東にある牧野植物園は、薬草コーナーも充実しています。

せっかくなので、ちょっと解説を・・・・

 
 
←オナモミ:あのハリセンボンにも似たトゲトゲのひっつきムシ(植物)。これがなんと、鼻炎、花粉症、風邪の発熱、発汗(外用で)皮膚病、あせもに効くとは・・・・。丁度これを買った若い女性は「コレを飲んでいると花粉症が楽なので毎年買いに来ています」と言っていました。
↑ニワトコ:木全体に薬効があるとされ、日本では、風邪の初期、炎症、打ち身に広く使われます。西洋でも「エルダーフラワー」といって、花のシロップは、風邪や咳止め、発汗剤として使われています。
←オオツズラフジ:茎、根茎を晩秋から冬にかけて収穫し、輪切りにして天日干しにしたもの。漢方名では防已(ボウイ)ともいい、神経痛、リウマチ、関節炎の治療に使います。
 
 
 
→カワラヨモギ:夏の花期に花穂(かすい)を刈り取り、刻んで陰干しにしたもの。生薬で、茵?蒿(いんちんこう) といいます。胆汁の分泌、排泄を促進させる作用があり、胆のう炎や黄疸の症状に用いられます。
 
 
● ハブ草:胃腸機能(とくに便通)を整えます。尚、「はぶ茶」は決明子(ケツメイシ:「えびすぐさ」の種子)と混同されがちですが、材料植物は異なります。
● キハダ:下痢、胃炎、のぼせ、二日酔い(吉野の薬「陀羅尼助」の主成分)。内樹皮は鮮黄色で,苦味があります。これは黄柏(黄蘗;おうばく)という漢方薬(健胃整腸薬)です。
● センブリ(当薬):非常に苦く、非常に良く効く薬として古来から使われてきた生薬。胃炎・胃痛に・・、(外用として)ノミ、シラミの殺虫・防虫、または養毛に効くとされます。
● 甘草(リコリス):激しい痛みを和らげたり、他のくすりの効きめを補う(味も飲みやすくする)働きがあります。
● マタタビ:マタタビの香りにネコが恍惚感を感じるというので有名ですが、この木の実は精力減退、排尿困難、冷え性、神経痛に効果があります。元気になって「また旅」ができることから、この名がついたとか。
● クコの実:血圧や血糖の低下作用、抗脂肪肝作用などがあります。また、精神が萎えているのを強壮する作用もあるほか、視力減退にもよいです。
● メグスリノキ:眼病の特効薬として江戸以前から用いられていた植物で、目と肝臓の調子を整えるとされます。かすみ目、疲れ目、二日酔いによい。
● 柿の葉:高血圧、排尿困難など。ビタミンC、カルシウム、ルチンなどが豊富でタンニンに富む。
● 忍冬(スイカズラ):蕾は、金銀花(きんぎんか)という生薬で抗菌・抗ウイルス作用や解熱作用があります。黄連解毒湯[おうれんげどくとう]にも配合されている立派な漢方生薬。
● ゲンノショウコ:下痢や胃腸障害に。ワカ末止瀉薬など、一般医薬品にも含まれる生薬。
● ベニバナ:月経不順の薬としても用いられます。また、コレステロール除去、動脈硬化予防や滋養強壮にもよいといわれています。
● アシタバ:豊富なビタミン、ミネラル、食物繊維を含み、抗菌、抗酸化作用があります。
  水混じりの川で取れるこんな蟹も!ワタリガニぐらいの大きさで、イシガニとモズクガニの間ぐらいの風貌。活きが良すぎて、コワイ、コワイ(笑)。上海ガニ顔負けの旨みがでるとして、その場で潰して大鍋で取った出汁汁も販売されています。
   
「チチコ」とは、鰹の心臓。
炭火焼きや煮付けにして食べるのだそうです。
 
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