ごあいさつ
私の食探訪は、スパイスから始まりました。
スパイスのもつお薬としての顔は、薬膳との出会いへ、薬膳の学びは、様々な民族の食文化の考察へと誘ってくれています。
中医学をベースにした薬膳のエッセンスは、バランス学。
歴代中国の宮廷で培われたアンチエイジング術でもあります。
日本人は、古より外国の知識や技術を上手に取り入れ、発展させてきました。
薬膳も、同様の道を歩もうとしています。
異なる文化背景や考え方が混在するグローバル化の時代。
そんな時代を生きる中で、薬膳の学びは、食文化を紐解き、食を取り巻く様々な情報の取捨選択にも一役買ってくれることでしょう。
美味しい食事は「暮らしのスパイス」。
心身を鼓舞し、生きるチカラをくれます。
食の楽しみは、誰もができる最もシンプルなアプローチですが、「スパイス」は、匙加減も大切。
上手に暮らしに取り入れていただけたらと思います。
「君の食するところを言いたまえ。君がどんな人物かを言い当てよう」
J・A・ブリア=サヴァラン(19世紀フランス)の言葉。
所変わって、中国では「成りたいものを食べる」のだとか。
あなたは、アナタの食べたモノで作られている(!)。
食は生き方の基本姿勢。
手の込んだ料理でなくても、美味しさは作れます。
文化的彩りと豊かさをなおざりにすることなく、無理なく続けられる滋味をー。
食材を活かせていれば「火を入れても新鮮」。
その極意を探ります。
器、道具、台所の諸々は、日々の暮らしを快適にし、華を添えてくれます。
そんな食周りのことにも、思いを馳せたいところ。
器や道具を愛おしむ心は、丁寧な生き方へと導いてくれるはず。